刑事事件の時効|2つの時効について詳しく解説
刑事事件で時効と聞くと、犯人が罪を問われなくなることを指すというイメージがあるかと思います。
しかし、刑事事件においては、もう一つ時効があります。
ここでは刑事事件で問題となる2種類の時効について詳しく説明していきます。
刑事事件で時効が2種類に分けられる理由
刑事事件とは、刑法や条例などに規定された罪が犯された事件のことをいいます。
刑事事件においては、罪を犯した加害者を警察・検察といった国家が発見し、処罰をするという側面(刑事上の側面)に加えて、被害者が加害者に対し発生した損害の賠償を求めていくという側面(民事上の側面)があります。
この2つの側面のそれぞれについて時効が問題となるため、刑事事件では時効が2種類あるのです。
刑事上の側面での時効
刑事上の側面の時効は、公訴時効と呼ばれるものになります。
警察や検察が捜査を行い、加害者が判明し、その罪を刑事裁判において追及すべき場合には、裁判所に対して加害者の処罰を求める起訴という手続を検察官が行います。
この起訴ができなくなるまでの期間のことを公訴時効といいます。
公訴時効の期間は犯罪の重さによって異なりますが、例を挙げるとすると、傷害罪であれば10年、詐欺罪や窃盗罪であれば7年となっています。
殺人罪など、法律改正によって公訴時効がなくなった犯罪もあります。
公訴時効の期間の起算点は犯罪行為が終わった時とされています。
この起算点はわかりにくいものもありますが、傷害罪であれば、被害者への暴行を終えたとき、詐欺や窃盗罪であれば、被害者の財物を自分の物としたとき、となります。
また、公訴時効が停止することがあり、停止事由としては公訴が提起された場合、犯人が国外にいる場合、などがあります。
民事上の側面での時効
民事上の側面の時効とは、損害賠償請求権の消滅時効を指します。
刑事事件において、被害者は、加害者の犯罪行為によって財産的損害(窃盗で奪われた財物、傷害の治療費など)や精神的損害(犯罪行為によって生じた精神的苦痛)を負います。
この損害の賠償を求める権利が損害賠償請求権であり、権利が消滅し、権利行使できなくなる期間が消滅時効となります。
この消滅時効の起算点については、2つのパターンが民法に定められており、1つが損害と加害者を知った時という起算点、もう一つが不法行為の時点という起算点です。
前者は犯罪による被害を受け、そして加害者が誰であるかまで特定された時点を指し、後者は犯罪行為がなされた時点を指します。
前者の期間は窃盗や詐欺といった犯罪については3年間、傷害や殺人などの生命・身体に対する不法行為の場合には5年間とされています。
後者の期間については、犯罪の種類を問わず、20年間となっています。
また、損害賠償請求権の債務者である加害者が債務を承認した場合や、被害者が加害者に対して民事訴訟を提起した場合には時効が更新されたり、一時的に完成しなくなったりします。
刑事事件においては、2種類の時効があり、犯罪の種類や被害者と加害者の関係性などによっても期間が異なります。
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